その5

2005年8月Zepp Tokyoで追悼ライブをやった。「ロッケンロー★サミット~We Love Billy! Stay Free~」。ビリーの弔いだ。渋谷の彫師ファミリー、原宿時代の不良仲間、関東一円からビリーを偲ぶ不良たちが集まった。5,6,7,8's、セドリックス、MAD3を始めとする仲間達がライブをやった。当初ギターウルフは出演する予定じゃなかった。だけど数ヶ月に渡って口説き続けたら、本番1週間前にセイジから電話がきた。「雄大がしつこいから出るよ!ただし!二曲だけ。やるからには本気でかますからヨロシク!」トオルと二人で二曲やってくれることになった。まだギターウルフがこの後解散するのか新しいベースを入れて続けるのかさえみんなわからないときだった。ライブ当日、入口には告別式のときに飾ってたビリーの写真パネル3点とビリーの愛器フェンダーをガラスケースに入れて飾った。ステージ後方にはリーゼントドクロ、ビリーが睨みをきかせてる。ギターウルフの出番の前、ビリーの盟友渋谷の彫師岸さんが言ってきた。「あの野郎もステージ立たせてえんだよ、わかんだろ雄大?オメエもそう思うだろ?」正直俺もそう思った。セイジに相談してみた。「表のビリーさんのベースが入ったガラスケースをビリーさんの立ち位置に置きたいと思うんだけどどうかな?」セイジにそう問うとセイジは俯いて5,6秒止まった。おもむろに顔をあげて、「雄大!これは新生ギターウルフの一回目のステージなんだ。振り返ることはできないんだ。ギターウルフは進むしかないんだ!」。俺は黙って頷いた。5,6,7,8'sが終わりいよいよギターウルフの登場だ。オーディエンスはギターウルフが出ることは知らない。まずトオルが出て行く。客は呆気にとられている。ドラムを叩き始めるとセイジの登場だ。やっと歓声が沸いた。曲が始まった。鬼気迫る迫力、ビリーがここにいる・・・。俺はそう思った。岸さんと仲間たちがビリーのベースのガラスケースをステージに運んできた。ビリーの立ち位置にセッティングされた。間奏のときセイジはそのガラスケースを倒し粉々にした。それぞれのやり方、それぞれのケジメの付け方がそこにはあった。仲間達の想いとオーディエンスの想いは当たり前だけど距離があり過ぎた。最初はのっていた客も次第におとなしくなっていく。というより二匹の狼の気迫に完璧に圧倒されてた。それくらい重苦しいステージだった。袖や2階のキャットウォークで見てた仲間達の想いとフロアの想いが違いすぎた。なんかだんだん腹がたってきた。オマエラ負けてんじぇねえ!ギターウルフがどんな気持ちで今日やってるか考えろよ、負けてんじゃねえ!気付くと袖で彼らを見守っていた俺はステージ最前に歩み寄り客にビールを撒き散らした。「負けてんじゃねえ!!」、それに触発されるように数人の男がダイブを始めた。でも結局客は最後まで唖然とした表情でステージを見守るだけだった。打上げでも客がだらしなかったよなって話をした。雄大よくやったよ。なんて言われながら結構いい気になってた。家に帰ってサミットのHPを見たら荒れまくってた。俺の行為をバッシングされた。物凄く悲しくなった、俺の思うロックンロールと彼らの思うロックンロールにここまで隔たりがあるとは・・・。数日落ち込んだ。主催者として詫びの文章をホームページに掲載した。個人の想いとは違ったけど、嫌な思いをした客がいたということは本当に詫びなきゃならないと思った。翌週のギターウルフのホームページの名物コーナー「Seiji's Vice」を開いて泣いちゃった。セイジの最新の声は以下の通りだった。「まあいろいろあるけど・・・お行儀よく聞くのがロックじゃねえんだ。ロックは元々不良の音楽なんだ。何があろうとロックンロールなんだ。何が起こるかわかんねえんだ。甘ったれんじゃねえ。バイバイ。」泣いた泣いた。何度も何度も聞いて泣いた。そして笑った。泣き笑い。本気でやったことを否定されたときほど落ち込むことはない。でも張本人が理解してくれた。



セイジに心から感謝している。



キューンソニーのメールマガジンにもコメントをしてくれてた。

『先週土曜日に行われたR&Rサミットは、ホントに素晴らしかった。今年で5年目のこのフェスは、フジテレビが自ら企画してお台場の「冒険王」という超メジャーな場所にカッコイイインディーのバンドを集結させてくれる。これもR&Rを愛するパワーを持った男がたった1人あのフジテレビに存在しているから実現してるってことだ。そいつは今ディレクターをやっていて俺達の昔からの友人でもある。ギターウルフは、いろんな所でライブしてるが、よく感じるのがパワーを持っている場所にいるたった1人の人間の存在だ。たった1人の人間が「よしやろうぜ」って気合いを入れた瞬間にその回りが突き動かされてその地域にものすごいパワーが生まれる現象をよくみている。多分これは、一つの会社や店、学校や全てに通じることだろう。俺達ギターウルフの存在で、この日本が強烈なR&Rパワーをもつ国だってことをぶっとばしてみせつけてやりたいのさ。』



ギターウルフとテレビで仕事ができる日が来るなんてあの当時は夢にも思わなかった。でもギターウルフはあの時から何も変わってない。ただ大好きなロッケンロールをやってるだけ。いろんなバンドが生まれ、そして終わっていった。ただウルフはずっとここにいる。あいつらがロックし続ける限り、オレはずっとヤツラを応援する。ウルフのステージを観るとパワーが出るんだ。身体の奥底からどうしようもないアドレナリンが湧き出るんだ。とてつもなくパワーが出る。俺も負けてらんねえ。ウルフに負けるか!俺もガンバル!ヤツラが頑張ってるから俺も頑張る。いつもそう思わしてくれる。最初の気持ちを思い出させてくれる。なんで俺がロックをやりたかったか?なんで俺がロックを伝えたいと思ったか?それを思い出させてくれるんだ。



Keep on Rockin'!!! wolves

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ロックにヨ★ロ★シ★ク!YOU-DIE!!!
by angelo4649 | 2011-03-02 12:43 | STAY FREE


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